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【保存版】確定申告で使える減税・還付制度まとめ|医療費控除・ふるさと納税・住宅ローン控除・株式損失まで解説

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この記事では、初心者にもわかりやすくポイントを整理しています。

確定申告というと、「個人事業主や副業をしている人だけが行うもの」と思われがちです。

しかし実際には、会社員や年金受給者でも、条件に当てはまれば税金が戻ってくるケースがあります。

たとえば、医療費が多かった人、ふるさと納税をした人、住宅ローンで家を買った人、株式投資で損失が出た人、米国株の配当を受け取っている人、年の途中で退職した人、災害や盗難で被害を受けた人などは、確定申告によって所得税の還付や翌年以降の税負担軽減を受けられる可能性があります。

本記事では、国税庁などの公式情報をもとに、確定申告で使える主な減税・還付制度をまとめます。

なお、本記事は主に令和7年分以後の所得税・確定申告を前提に、2026年7月時点で確認できる情報をもとに整理しています。税制は毎年改正されることがあるため、実際に申告する際は、必ず国税庁の最新ページ、確定申告書等作成コーナー、税務署、税理士などに確認してください。

公式情報:国税庁「所得税の確定申告」
国税庁では、令和7年分確定申告特集として、申告・納税期限、申告書の作成・提出方法、納税方法などを案内しています。


  1. この記事で分かること
  2. まず確認したい5つのポイント
  3. 1. 還付申告
  4. 2. 更正の請求
  5. 3. 会社員の副業20万円ルール
  6. 4. 年金受給者の確定申告不要制度
  7. 5. 医療費控除
  8. 6. セルフメディケーション税制
  9. 7. 社会保険料控除
  10. 8. 小規模企業共済等掛金控除
  11. 9. 生命保険料控除
  12. 10. 地震保険料控除
  13. 11. 寄附金控除
  14. 12. ふるさと納税
  15. 13. 雑損控除
  16. 14. 災害減免法による所得税の軽減免除
  17. 15. 障害者控除
  18. 16. 寡婦控除
  19. 17. ひとり親控除
  20. 18. 勤労学生控除
  21. 19. 配偶者控除
  22. 20. 配偶者特別控除
  23. 21. 扶養控除
  24. 22. 特定親族特別控除
  25. 23. 基礎控除
  26. 24. 給与所得者の特定支出控除
  27. 25. 配当控除
  28. 26. 外国税額控除
  29. 27. 分配時調整外国税相当額控除
  30. 28. 政党等寄附金特別控除
  31. 29. 認定NPO法人等寄附金特別控除
  32. 30. 公益社団法人等寄附金特別控除
  33. 31. 住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン控除
  34. 32. 認定住宅等新築等特別税額控除
  35. 33. 住宅耐震改修特別控除
  36. 34. 省エネ改修工事の住宅特定改修特別税額控除
  37. 35. バリアフリー改修工事の住宅特定改修特別税額控除
  38. 36. 多世帯同居改修工事の住宅特定改修特別税額控除
  39. 37. 耐久性向上改修工事の住宅特定改修特別税額控除
  40. 38. 子育て対応改修工事の住宅特定改修特別税額控除
  41. 39. 特定増改築等住宅借入金等特別控除
  42. 40. 上場株式等の譲渡損失の損益通算
  43. 41. 上場株式等の譲渡損失の繰越控除
  44. 42. 先物取引・FX等の損失の繰越控除
  45. 43. 配当所得の申告方式の選択
  46. 44. 暗号資産・仮想通貨の利益と損失
  47. 45. 投資の申告で注意したい住民税・国民健康保険・扶養への影響
  48. 46. マイホーム売却時の3,000万円特別控除
  49. 47. マイホーム売却時の軽減税率の特例
  50. 48. 被相続人の居住用財産、いわゆる空き家を売ったときの3,000万円特別控除
  51. 49. マイホーム買換え時の譲渡損失の損益通算・繰越控除
  52. 50. 住宅ローンが残っているマイホーム売却時の譲渡損失の損益通算・繰越控除
  53. 51. 収用等により土地建物を売ったときの5,000万円特別控除
  54. 52. 青色申告制度
  55. 53. 青色申告特別控除
  56. 54. 青色事業専従者給与・事業専従者控除
  57. 55. 必要経費
  58. 56. 損益通算
  59. 57. 不動産所得の赤字と損益通算
  60. 58. 純損失の繰越控除
  61. 59. 純損失の繰戻し還付
  62. 60. 予定納税と予定納税の減額申請
  63. 61. 確定申告の期限
  64. 62. 確定申告書等作成コーナー
  65. 63. e-Tax
  66. 64. マイナポータル連携
  67. 会社員が確認すべき制度
  68. 年金受給者が確認すべき制度
  69. 投資家が確認すべき制度
  70. 住宅を買った・改修した人が確認すべき制度
  71. 個人事業主・副業をしている人が確認すべき制度
  72. 参考にした主な公式情報

この記事で分かること

この記事では、次の内容をまとめています。

  • 会社員でも確定申告で税金が戻るケース
  • 医療費控除、セルフメディケーション税制の基本
  • ふるさと納税を確定申告する場合の注意点
  • 住宅ローン控除や住宅改修に関する減税制度
  • 株式投資、米国株配当、FX、暗号資産に関する申告制度
  • 年金受給者が確認したい確定申告不要制度
  • 副業20万円ルールと住民税の注意点
  • 個人事業主・副業をしている人が使える制度
  • 申告前に確認したい公式ツール

まず確認したい5つのポイント

確定申告に慣れていない人は、まず次の5つを確認してみてください。

  1. 年間の医療費が10万円前後を超えていないか
  2. ふるさと納税を確定申告に入れ忘れていないか
  3. 住宅ローン控除の初年度ではないか
  4. 株式・FX・先物取引で損失が出ていないか
  5. 年末調整で保険料控除やiDeCoの控除証明書を出し忘れていないか

このどれかに当てはまる場合、確定申告によって税金が戻ったり、翌年以降の税負担を軽くできたりする可能性があります。


まず知っておきたい:確定申告で税金が戻る主な仕組み

確定申告で税金が減る、または戻る制度は、大きく分けると次の5種類です。

分類内容代表例
所得控除所得から差し引くことで課税対象を減らす医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、扶養控除
税額控除計算後の所得税額から直接差し引く住宅ローン控除、配当控除、外国税額控除
損益通算・繰越控除損失を他の所得や翌年以降の利益と相殺する株式譲渡損失、事業所得の赤字、先物・FX損失
特別控除・特例特定の資産売却や住宅改修などで使えるマイホーム売却3,000万円控除、空き家3,000万円控除
還付申告・更正の請求納めすぎた税金を取り戻す手続き年途中退職、控除漏れ、申告ミスの訂正

所得控除は、課税される所得を減らす制度です。
税額控除は、計算された所得税額から直接差し引く制度です。

同じ「控除」という言葉でも、所得控除と税額控除では仕組みが違います。


第1章 会社員でも使いやすい還付・控除制度

1. 還付申告

還付申告とは、確定申告義務がない人でも、源泉徴収された所得税や予定納税額が本来の税額より多い場合に、確定申告をして納めすぎた税金の還付を受ける手続きです。

会社員の場合、特に次のようなケースで該当しやすいです。

  • 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
  • 医療費控除を受けたい
  • ふるさと納税を確定申告で申告したい
  • 住宅ローン控除の初年度申告をしたい
  • 株式投資の損失を申告したい
  • 雑損控除、特定支出控除などを使いたい

還付申告は、通常の確定申告期間に限らず、対象年の翌年1月1日から5年間提出できます。

たとえば、過去の年で医療費控除を出し忘れていた場合でも、期限内であれば還付を受けられる可能性があります。

ただし、青色申告特別控除の55万円・65万円控除など、法定申告期限までの提出が要件になっている制度もあります。

「還付申告なら何でも5年以内でよい」というわけではありません。


2. 更正の請求

更正の請求とは、すでに提出した確定申告書の内容に誤りがあり、税金を多く申告していた、または還付金を少なく申告していた場合に、正しい内容へ訂正してもらう手続きです。

たとえば、次のようなケースが考えられます。

  • 医療費控除を入れ忘れた
  • 扶養控除を入れ忘れた
  • 生命保険料控除や地震保険料控除を忘れた
  • 外国税額控除を申告していなかった
  • 株式損失の繰越を申告し忘れた

更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内に提出します。

一度申告した後に「やっぱり控除を入れ忘れていた」と気づいた場合でも、すぐに諦める必要はありません。


3. 会社員の副業20万円ルール

会社員で副業をしている人が気になるのが、「副業所得が20万円以下なら確定申告しなくていいのか」という点です。

給与を1か所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合、所得税の確定申告が不要になるケースがあります。

ただし、ここには重要な注意点があります。

  • 医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、副業所得も含めて申告する必要がある
  • 20万円以下の申告不要は、主に所得税の話
  • 住民税の申告は別途必要になる場合がある
  • 副業収入ではなく、副業所得で判断する

副業収入が30万円あっても、必要経費が15万円なら所得は15万円です。
一方で、経費がほとんどなければ収入に近い金額が所得になります。

副業をしている人は、「収入」と「所得」を混同しないようにしましょう。


4. 年金受給者の確定申告不要制度

年金受給者にも、確定申告が不要になる制度があります。

国税庁は、次のすべてに該当する場合、所得税及び復興特別所得税の確定申告は必要ないと案内しています。

  • 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
  • 公的年金等の全部が源泉徴収の対象
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

ただし、確定申告が不要な人でも、医療費控除、生命保険料控除、社会保険料控除、ふるさと納税などで所得税が戻る可能性がある場合は、還付申告を検討できます。

「申告しなくてよい」と「申告すると得をする」は別の話です。

年金受給者で医療費が多い人、保険料の控除漏れがある人、ふるさと納税をした人は、一度確認しておきたいところです。


第2章 所得控除で税金を減らす制度

所得控除は、所得税を計算する前の「課税される所得」を減らす制度です。

所得が高い人ほど税率が高くなるため、同じ控除額でも税率が高い人ほど節税効果が大きくなる傾向があります。


5. 医療費控除

医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに、自分や生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費が一定額を超えた場合に受けられる所得控除です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 家族全体の医療費が多かった人
  • 入院・手術をした人
  • 歯科治療で高額な治療費を払った人
  • 出産費用を支払った人
  • 通院交通費が多かった人
  • 家族分の医療費をまとめて負担した人

医療費控除額は、原則として次の計算です。

支払った医療費の合計額 − 保険金などで補てんされる金額 − 10万円

ただし、総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。控除額の上限は200万円です。

申告時には、医療費控除の明細書、医療費通知、保険金や高額療養費などの補てん額が分かる資料を確認します。

領収書は確定申告書に添付するのではなく、原則として自宅で5年間保存します。税務署から提示を求められる場合があります。


6. セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制は、対象となる市販薬を一定額以上購入した場合に使える医療費控除の特例です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • ドラッグストアで対象医薬品をよく買う人
  • 健康診断、予防接種、特定健康診査などを受けている人
  • 通常の医療費控除を使うほど医療費は多くないが、市販薬の購入額が多い人

対象医薬品の購入額が年間12,000円を超えた場合、その超えた部分が控除対象になります。控除額の上限は88,000円です。

ただし、通常の医療費控除との選択制です。
同じ年に、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制の両方を同時に使うことはできません。


7. 社会保険料控除

社会保険料控除は、自分や生計を一にする配偶者・親族が負担すべき社会保険料を支払った場合に、その支払額の全額を所得から控除できる制度です。

対象になる主な保険料は次のとおりです。

  • 国民年金保険料
  • 厚生年金保険料
  • 国民健康保険料・国民健康保険税
  • 健康保険料
  • 介護保険料
  • 後期高齢者医療制度の保険料
  • 雇用保険料
  • 国民年金基金の掛金

会社員の場合、給与から天引きされている社会保険料は通常、年末調整で反映されています。

ただし、次のような場合は確定申告で追加控除できる可能性があります。

  • 子どもの国民年金保険料を親が払った
  • 退職後に国民健康保険料を自分で払った
  • 任意継続の健康保険料を払った
  • 国民年金の追納をした
  • 家族の社会保険料を代わりに払った

8. 小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済、iDeCo、企業型確定拠出年金の加入者掛金などを支払った場合に、その全額を所得から控除できる制度です。

対象になる主な掛金は次のとおりです。

  • 小規模企業共済の掛金
  • iDeCoの掛金
  • 企業型確定拠出年金のマッチング拠出
  • 心身障害者扶養共済制度の掛金

会社員でもiDeCoを利用している場合、年末調整で控除証明書を出し忘れたときは、確定申告で控除できます。

iDeCoをやっているのに年末調整で出し忘れた場合は、かなり見落としやすいポイントです。


9. 生命保険料控除

生命保険料控除は、生命保険、介護医療保険、個人年金保険などの保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。

対象になる保険は、主に次の3つです。

  • 一般生命保険
  • 介護医療保険
  • 個人年金保険

平成24年1月1日以後に契約した新契約と、それ以前の旧契約では控除額の計算方法が異なります。

新契約の場合、一般生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の各区分で最大4万円、合計で最大12万円が所得税の控除対象になります。

年末調整で提出し忘れた場合は、確定申告で控除できます。


10. 地震保険料控除

地震保険料控除は、地震保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 持ち家で地震保険に加入している人
  • 賃貸住宅で家財の地震保険に加入している人
  • 火災保険とセットで地震保険に入っている人

地震保険料は、年間支払額が50,000円以下なら支払額の全額、50,000円を超える場合は一律50,000円が所得税の控除額になります。

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11. 寄附金控除

寄附金控除は、国、地方公共団体、特定公益増進法人などに対して一定の寄附をした場合に受けられる所得控除です。

対象になる主な寄附は次のとおりです。

  • 国や地方公共団体への寄附
  • ふるさと納税
  • 日本赤十字社などへの寄附
  • 公益法人への寄附
  • 学校法人への寄附
  • 認定NPO法人への寄附

寄附金控除は所得控除ですが、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等への寄附金、公益社団法人等への寄附金の一部は、所得控除ではなく税額控除を選べる場合があります。


12. ふるさと納税

ふるさと納税は、自治体への寄附金として扱われます。

確定申告を行うことで、所得税の還付と住民税の控除を受けられます。

ここで特に注意したいのが、ワンストップ特例制度です。

ふるさと納税では、給与所得者などが利用できる「ワンストップ特例制度」があります。

しかし、医療費控除や住宅ローン控除初年度などのために確定申告を行う場合、ワンストップ特例の申請は無効になります。

つまり、ワンストップ特例を出していた寄附分も含めて、すべて確定申告書に記載する必要があります。

「ワンストップで出したから大丈夫」と思っていると、確定申告時に漏れてしまうことがあります。


13. 雑損控除

雑損控除は、災害、盗難、横領によって生活に通常必要な資産に損害を受けた場合に受けられる所得控除です。

対象になる損害は次のとおりです。

  • 地震、台風、大雨、落雷などの自然災害
  • 火災
  • 害虫などによる異常な災害
  • 盗難
  • 横領

一方で、詐欺や恐喝による被害は雑損控除の対象になりません。

損失額が大きく、その年の所得から控除しきれない場合は、翌年以後3年間、特定非常災害などの場合は5年間、繰り越せる場合があります。


14. 災害減免法による所得税の軽減免除

災害で住宅や家財に大きな損害を受けた場合、雑損控除とは別に、災害減免法による所得税の軽減または免除を選べる場合があります。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 災害による住宅・家財の損害が時価の2分の1以上
  • 災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下
  • 雑損控除ではなく災害減免法を選択する人

所得金額の合計額に応じて、所得税の全額、2分の1、4分の1が軽減または免除されます。

雑損控除と災害減免法は、どちらか有利な方法を選択します。


15. 障害者控除

障害者控除は、納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者に該当する場合に受けられる所得控除です。

控除額は次のとおりです。

区分控除額
障害者27万円
特別障害者40万円
同居特別障害者75万円

障害者控除は、扶養控除の対象外である16歳未満の扶養親族についても適用できる点が重要です。


16. 寡婦控除

寡婦控除は、納税者本人が一定の条件を満たす寡婦である場合に受けられる所得控除です。

対象になりやすい例は次のとおりです。

  • 夫と離婚後、再婚しておらず、扶養親族がいる
  • 夫と死別後、再婚していない
  • 合計所得金額が500万円以下

令和2年分以後の寡婦控除の控除額は27万円です。


17. ひとり親控除

ひとり親控除は、納税者本人がひとり親に該当する場合に受けられる所得控除です。

主な要件は次のとおりです。

  • 婚姻していない、または配偶者の生死が明らかでない
  • 生計を一にする子がいる
  • 合計所得金額が500万円以下
  • 事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいない

控除額は35万円です。


18. 勤労学生控除

勤労学生控除は、働きながら学んでいる学生で、一定の所得要件を満たす場合に受けられる所得控除です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • アルバイト収入がある学生
  • 給与所得など勤労による所得がある学生
  • 合計所得金額が一定以下の学生

学生本人が申告する場合だけでなく、親の扶養判定にも関係することがあります。


19. 配偶者控除

配偶者控除は、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に受けられる所得控除です。

対象になる主な条件は次のとおりです。

  • 民法上の配偶者であること
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 配偶者の合計所得金額が一定以下であること
  • 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること

控除額は、納税者本人の合計所得金額と配偶者の年齢によって変わります。


20. 配偶者特別控除

配偶者特別控除は、配偶者の所得が配偶者控除の範囲を超えている場合でも、一定範囲内であれば受けられる所得控除です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 配偶者のパート・アルバイト収入がある
  • 配偶者控除の対象外になったが、一定の所得範囲に収まっている
  • 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下

令和7年分以降、配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下の場合に、所得金額に応じた控除を受けられる可能性があります。


21. 扶養控除

扶養控除は、納税者に控除対象扶養親族がいる場合に受けられる所得控除です。

対象になりやすい親族は次のとおりです。

  • 16歳以上の子
  • 所得が一定以下の親
  • 生計を一にする親族
  • 一定条件を満たす国外居住親族

扶養控除の控除額は、扶養親族の年齢や同居の有無などによって異なります。

たとえば、19歳以上23歳未満の特定扶養親族は控除額が大きくなります。


22. 特定親族特別控除

特定親族特別控除は、令和7年分以後の所得税から適用される新しい控除です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 生計を一にする19歳以上23歳未満の親族がいる
  • その親族の合計所得金額が一定範囲内
  • 扶養控除の対象から外れるが、一定所得以下である

いわゆる大学生年代の子どもなどがアルバイト収入により扶養控除の範囲を超えた場合でも、一定の控除が受けられる可能性があります。

令和7年度税制改正では、基礎控除や給与所得控除の見直しに加え、特定親族特別控除が創設されています。


23. 基礎控除

基礎控除は、多くの納税者に適用される基本的な所得控除です。

ただし、納税者本人の合計所得金額によって控除額が変わり、所得が高い場合は控除額が減少または適用外になります。

令和7年分以後は税制改正の影響があるため、申告年分ごとの最新情報を確認することが重要です。


24. 給与所得者の特定支出控除

給与所得者の特定支出控除は、会社員でも仕事のために多額の自己負担をしている場合に使える可能性がある制度です。

対象となる主な支出は次のとおりです。

  • 通勤費
  • 職務上の旅費
  • 転居費
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 単身赴任者の帰宅旅費
  • 図書費、衣服費、交際費等の勤務必要経費

ただし、使えるハードルは高めです。

特定支出の合計額が給与所得控除額の2分の1相当額を超える必要があります。また、原則として給与の支払者などによる証明が必要です。


第3章 税額控除で税金を直接減らす制度

所得控除が「所得から引く」のに対して、税額控除は「所得税額から直接引く」制度です。

条件に当てはまる場合、減税効果が大きくなることがあります。


25. 配当控除

配当控除は、日本国内に本店がある法人から受ける配当などについて、総合課税で確定申告した場合に受けられる税額控除です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 日本株の配当を受け取っている人
  • 配当所得を総合課税で申告した方が有利な人
  • 所得税率が比較的低い人

注意点として、外国法人から受ける配当は配当控除の対象になりません。

また、申告分離課税や申告不要制度を選んだ配当も配当控除の対象外です。


26. 外国税額控除

外国税額控除は、日本の居住者が外国で生じた所得について外国所得税を課された場合に、日本での二重課税を調整するための制度です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 米国株の配当を受け取っている人
  • 海外ETFの分配金を受け取っている人
  • 海外勤務・海外投資などで外国税を払っている人

米国株配当などでは、外国で源泉徴収された税金と日本の税金が二重にかかる場合があります。

その調整として外国税額控除を使える可能性があります。

米国株や海外ETFに投資している人は、年間取引報告書や支払通知書を確認しておきましょう。


27. 分配時調整外国税相当額控除

分配時調整外国税相当額控除は、一定の投資信託などで外国税相当額が調整されている場合に関係する制度です。

投資信託の分配金などで、外国で課された税金が日本の所得税と重複する場合に調整される仕組みです。

一般の個人投資家の場合、証券会社の年間取引報告書や支払通知書に記載されている内容をもとに確認します。


28. 政党等寄附金特別控除

政党等寄附金特別控除は、政党や政治資金団体に対して一定の政治活動に関する寄附をした場合に受けられる税額控除です。

寄附金控除として所得控除を選ぶ方法もありますが、条件を満たせば税額控除を選べる場合があります。

どちらが有利かは、所得や寄附額によって変わります。


29. 認定NPO法人等寄附金特別控除

認定NPO法人等に寄附した場合、通常の寄附金控除ではなく、税額控除を選べる場合があります。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 認定NPO法人に寄附した人
  • 特例認定NPO法人に寄附した人
  • 所得控除より税額控除の方が有利な人

税額控除を受けるには、確定申告書に必要事項を記載し、計算明細書や寄附金受領証明書などの添付が必要です。


30. 公益社団法人等寄附金特別控除

公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人などへの一定の寄附については、所得控除ではなく税額控除を選べる場合があります。

ただし、すべての公益法人等への寄附が税額控除の対象になるわけではありません。

対象法人かどうか、寄附先の証明書があるかを確認する必要があります。


第4章 住宅関係の減税制度

住宅関係の控除は金額が大きくなりやすい一方で、制度名が似ていて分かりにくい分野です。

住宅ローンを使った場合、ローンなしの改修、認定住宅の新築、耐震改修、省エネ改修などで制度が分かれています。


31. 住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン控除

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを新築・取得・増改築した場合に、一定要件を満たすと所得税額から控除を受けられる制度です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 住宅ローンで家を買った人
  • 住宅ローンでマンションを買った人
  • 住宅ローンで一定の増改築をした人
  • 初年度の住宅ローン控除を受けたい会社員

会社員の場合、住宅ローン控除の初年度は原則として確定申告が必要です。

2年目以降は、勤務先の年末調整で受けられる場合があります。


32. 認定住宅等新築等特別税額控除

認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅などを新築・取得した場合に、一定要件のもとで税額控除を受けられる制度です。

対象になりやすい住宅は次のとおりです。

  • 認定長期優良住宅
  • 認定低炭素住宅
  • ZEH水準省エネ住宅

住宅ローン控除とは別の制度ですが、併用・選択関係には注意が必要です。

マイホーム売却の特例を使った場合、住宅ローン控除や認定住宅新築等特別税額控除が制限される場合があります。


33. 住宅耐震改修特別控除

住宅耐震改修特別控除は、一定の古い住宅について耐震改修を行った場合に、所得税額から一定額を控除できる制度です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家に住んでいる人
  • 自宅の耐震改修をした人
  • 現行の耐震基準に適合する改修を行った人

対象となるのは、自己の居住用家屋について行う住宅耐震改修です。

一定の証明書や登記事項証明書などが必要になります。


34. 省エネ改修工事の住宅特定改修特別税額控除

省エネ改修工事をした場合、一定要件のもとで住宅特定改修特別税額控除を受けられます。

対象になりやすい工事は次のとおりです。

  • 窓の断熱改修
  • 床・天井・壁の断熱改修
  • 太陽光発電設備の設置を伴う省エネ改修
  • 一定の省エネ性能向上工事

この控除は、住宅ローン等の利用がなくても適用できる場合があります。


35. バリアフリー改修工事の住宅特定改修特別税額控除

バリアフリー改修工事をした場合、一定要件のもとで所得税額から控除できる制度です。

対象になりやすい工事は次のとおりです。

  • 通路や出入口の幅を広げる工事
  • 階段の勾配を緩和する工事
  • 浴室やトイレの改良
  • 手すりの設置
  • 段差の解消
  • 床材を滑りにくいものにする工事

50歳以上の人、要介護・要支援認定を受けている人、障害者、高齢者等と同居している人などが関係する場合があります。


36. 多世帯同居改修工事の住宅特定改修特別税額控除

多世帯同居改修工事をした場合に、一定要件のもとで使える税額控除です。

対象になりやすい工事は次のとおりです。

  • キッチンの増設
  • 浴室の増設
  • トイレの増設
  • 玄関の増設

親世帯・子世帯など複数世帯で同居するための改修を行った場合に検討したい制度です。

住宅ローンの利用がなくても適用できる場合があります。


37. 耐久性向上改修工事の住宅特定改修特別税額控除

耐久性向上改修工事は、住宅の劣化対策や維持管理・更新をしやすくする改修などを行った場合に関係する制度です。

ただし、単独で使えるのではなく、住宅耐震改修や一般省エネ改修工事と併せて行うものに限られる点に注意が必要です。


38. 子育て対応改修工事の住宅特定改修特別税額控除

子育て対応改修工事をした場合に、一定要件のもとで使える税額控除です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 子育て世帯
  • 若者夫婦世帯
  • 自宅を子育てしやすい環境へ改修した人

対象期間や対象者、工事内容の要件が細かく決められているため、工事前または申告前に必ず公式情報を確認する必要があります。


39. 特定増改築等住宅借入金等特別控除

特定増改築等住宅借入金等特別控除は、一定のバリアフリー改修、省エネ改修、多世帯同居改修などを含む増改築のために住宅ローン等を利用した場合に関係する制度です。

住宅ローンを利用しない住宅特定改修特別税額控除とは異なるため、どちらの制度を使うのか確認が必要です。


第5章 投資で使える確定申告の制度

投資関係は、申告することで税金が戻るケースもあれば、翌年以降の節税につながるケースもあります。

一方で、申告すると扶養、国民健康保険料、住民税、各種給付判定に影響する場合もあるため、慎重に確認が必要です。

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40. 上場株式等の譲渡損失の損益通算

上場株式等を売却して損失が出た場合、確定申告により、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等と損益通算できる場合があります。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 特定口座で株式売却損が出た人
  • 配当金を受け取っている人
  • 同じ年に株の損失と配当がある人

たとえば、株の売却損が10万円あり、配当所得が5万円ある場合、申告によって配当と損失を相殺できる可能性があります。


41. 上場株式等の譲渡損失の繰越控除

株式の損失をその年だけで控除しきれない場合、翌年以後3年間にわたり繰り越して、将来の上場株式等の譲渡益や配当所得等と相殺できる制度です。

重要な注意点は次のとおりです。

  • 損失が出た年に確定申告が必要
  • その後も連続して確定申告が必要
  • 株式の取引がない年でも、繰越を続けるためには申告が必要
  • NISA口座内の損失は対象外

NISA口座内の上場株式等の譲渡損失は、損益通算・繰越控除できません。


42. 先物取引・FX等の損失の繰越控除

先物取引や一定のFX取引で損失が出た場合、その損失を翌年以後3年間にわたり繰り越し、将来の先物取引に係る雑所得等から控除できる制度です。

対象になりやすい取引は次のとおりです。

  • 国内FX
  • 日経225先物
  • 商品先物
  • くりっく365など一定の先物取引

この制度を使うには、損失が出た年に申告書付表や計算明細書を添付して確定申告し、その後も連続して申告する必要があります。


43. 配当所得の申告方式の選択

上場株式等の配当所得については、状況により次の選択肢があります。

  • 申告不要
  • 総合課税
  • 申告分離課税

総合課税を選ぶと配当控除を使える可能性があります。

一方、申告分離課税を選ぶと、上場株式等の譲渡損失との損益通算ができる場合があります。

ただし、所得税だけを見て有利でも、住民税や社会保険料、扶養判定に影響する場合があります。

配当所得の申告方式は、単純に「還付があるかどうか」だけで判断しない方が安全です。


44. 暗号資産・仮想通貨の利益と損失

暗号資産を売却・交換・使用して利益が出た場合、原則として雑所得として申告が必要になります。

対象になりやすいケースは次のとおりです。

  • 暗号資産を売却して利益が出た
  • 暗号資産同士を交換して利益が出た
  • 暗号資産で商品やサービスを購入した
  • マイニングやステーキングなどで報酬を得た

一方で、暗号資産の損失は、上場株式等の損失のように配当や株式譲渡益と損益通算できるものではありません。

株、投資信託、FX、暗号資産は税区分が異なります。

同じ「投資の損失」でも、税金上の扱いがまったく違うことがあるため、混同しないよう注意しましょう。

国税庁も、暗号資産を売却または使用することにより生じる利益は、原則として雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要になると案内しています。


45. 投資の申告で注意したい住民税・国民健康保険・扶養への影響

投資で確定申告をする場合、所得税だけで判断すると失敗することがあります。

特に注意したいのは次の点です。

  • 申告によって住民税の所得に反映される場合がある
  • 国民健康保険料などに影響する場合がある
  • 配偶者控除や扶養控除の判定に影響する場合がある
  • 各種給付金や所得制限の判定に影響する場合がある

たとえば、配当控除や外国税額控除で所得税の還付が見込めても、住民税や国民健康保険料まで含めると不利になるケースがあります。

投資関係の申告は、所得税の還付額だけでなく、住民税・社会保険料・扶養判定まで含めて確認することが大切です。


第6章 マイホーム・不動産売却で使える特例

不動産売却の特例は金額が非常に大きい一方で、適用要件や併用制限が複雑です。

住宅ローン控除との関係にも注意が必要です。


46. マイホーム売却時の3,000万円特別控除

マイホームを売却した場合、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 自分が住んでいる家を売った人
  • 以前住んでいた家を、住まなくなってから一定期間内に売った人
  • 家屋とその敷地を売った人

ただし、親子や夫婦など特別な関係のある人への売却、別荘、仮住まい目的の家などは対象外です。

また、住宅ローン控除との併用制限があります。


47. マイホーム売却時の軽減税率の特例

所有期間が長いマイホームを売却した場合、一定要件のもとで長期譲渡所得の税率が軽減される制度です。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 長期間所有していたマイホームを売った人
  • 3,000万円特別控除を使っても譲渡所得が残る人

3,000万円特別控除と併用できる場合があるため、売却益が大きい場合は重要な制度です。


48. 被相続人の居住用財産、いわゆる空き家を売ったときの3,000万円特別控除

相続または遺贈により取得した被相続人の居住用家屋やその敷地を売却した場合、一定要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。

令和6年1月1日以後の譲渡で、相続人の数が3人以上の場合は、控除額が2,000万円までとなる場合があります。

相続した空き家を売る場合は、売却前に適用要件を確認しておくことが大切です。


49. マイホーム買換え時の譲渡損失の損益通算・繰越控除

マイホームを売却して新しいマイホームに買い換えた際、旧居宅の売却で損失が出た場合に、その損失を給与所得や事業所得など他の所得から控除できる制度です。

さらに、損益通算しても控除しきれない損失は、翌年以後3年内に繰り越して控除できる場合があります。


50. 住宅ローンが残っているマイホーム売却時の譲渡損失の損益通算・繰越控除

住宅ローンが残っているマイホームを、住宅ローン残高を下回る価額で売却して損失が出た場合、一定要件を満たすと、その損失を他の所得から控除できる制度です。

買換資産を取得しない場合でも適用できる可能性がある点が、買換え時の譲渡損失制度との違いです。


51. 収用等により土地建物を売ったときの5,000万円特別控除

公共事業などのために土地や建物を売却した場合、譲渡所得から最高5,000万円まで特別控除できる制度があります。

たとえば、道路拡張や公共事業に伴う土地収用などが関係します。

同じ公共事業で複数年にまたがって資産を売る場合は、最初の年だけしか受けられないなどの制限があります。


第7章 個人事業主・副業・不動産所得がある人向け

会社員でも、副業、不動産賃貸、フリーランス収入がある場合は、事業所得・雑所得・不動産所得の整理が重要になります。

ここでは、主に個人事業主や不動産所得者が使う制度を紹介します。


52. 青色申告制度

青色申告は、一定水準の記帳を行い、その記帳に基づいて正しく申告する人に対して、有利な取扱いを認める制度です。

青色申告ができる所得は次のとおりです。

  • 事業所得
  • 不動産所得
  • 山林所得

青色申告には、青色申告特別控除、青色事業専従者給与、貸倒引当金、純損失の繰越し・繰戻しなどの特典があります。


53. 青色申告特別控除

青色申告特別控除は、青色申告者が一定要件を満たす場合に受けられる所得控除です。

区分控除額
一定要件を満たす青色申告者65万円
正規の簿記等の要件を満たす青色申告者55万円
その他の青色申告者10万円

65万円控除を受けるには、55万円控除の要件に加え、e-Taxによる申告または一定の電子帳簿保存が必要です。

また、55万円・65万円控除は、還付申告であっても法定申告期限までに提出する必要があります。

ここはかなり重要です。

「還付だから5年以内でいい」と思って期限を過ぎると、青色申告特別控除の大きい控除が使えなくなる可能性があります。


54. 青色事業専従者給与・事業専従者控除

個人事業主が、生計を一にする配偶者や親族に事業を手伝ってもらい給与を支払う場合、原則としてその給与は必要経費になりません。

しかし、青色申告者の場合は「青色事業専従者給与」として、一定要件のもとで必要経費に算入できる場合があります。

白色申告者の場合にも「事業専従者控除額」という制度があります。

家族に事業を手伝ってもらっている人は、制度の要件を確認しておきたいところです。


55. 必要経費

事業所得や不動産所得がある場合、収入を得るために直接必要な費用は必要経費として所得から差し引けます。

必要経費になりやすいものは次のとおりです。

  • 仕入代
  • 外注費
  • 通信費
  • 交通費
  • 事務用品費
  • 家賃
  • 水道光熱費
  • 広告宣伝費
  • 会議費
  • 減価償却費

自宅兼事務所の場合は、家賃や電気代などを事業利用割合に応じて按分することがあります。

副業でも、収入を得るために必要な費用であれば経費になる可能性があります。

ただし、プライベート利用分まで経費にすることはできません。


56. 損益通算

損益通算とは、一定の所得で生じた赤字を、他の黒字の所得から差し引く制度です。

損益通算の対象になり得る所得は次のとおりです。

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 譲渡所得
  • 山林所得

ただし、すべての赤字が損益通算できるわけではありません。

たとえば、雑所得の赤字は原則として他の所得から差し引けません。

また、不動産所得の赤字でも、土地取得のための借入金利子に相当する部分などは損益通算できない場合があります。


57. 不動産所得の赤字と損益通算

不動産所得が赤字になった場合、一定の範囲で他の所得と損益通算できる可能性があります。

ただし、次のような損失は制限されます。

  • 別荘など生活に通常必要でない資産の貸付けに係る損失
  • 土地取得のための借入金利子に相当する部分
  • 一定の組合契約等に基づく損失
  • 国外中古建物に係る一定の減価償却費相当額

不動産投資で赤字が出たからといって、必ず給与所得と相殺できるわけではありません。


58. 純損失の繰越控除

青色申告者で、事業所得などに損失があり、損益通算しても控除しきれない純損失が出た場合、その損失を翌年以後3年間にわたって繰り越し、将来の所得から控除できる制度があります。

特定非常災害により生じた一定の純損失については、繰越期間が5年間に延長される場合があります。


59. 純損失の繰戻し還付

青色申告者がその年に純損失を出した場合、前年の所得に繰り戻して税額を再計算し、前年分の所得税の還付を受けられる場合があります。

対象になりやすい人は、次のような人です。

  • 前年は黒字で所得税を納めていた
  • 当年に事業で大きな赤字が出た
  • 青色申告をしている
  • 確定申告期限内に還付請求を行う

前年は利益が出ていたけれど、今年は大きな赤字になったという個人事業主は確認しておきたい制度です。


60. 予定納税と予定納税の減額申請

個人事業主や不動産所得がある人は、前年の所得税額などに応じて予定納税が必要になる場合があります。

予定納税とは、その年の所得税を前払いする制度です。

ただし、業績悪化や廃業、災害などにより、その年の所得税額が前年より大きく下がる見込みの場合は、予定納税の減額申請を検討できる場合があります。

予定納税の通知が来た人は、単に支払うだけでなく、今年の所得見込みと照らし合わせて確認しましょう。

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第8章 確定申告の期限・公式ツール・提出方法

61. 確定申告の期限

確定申告には期限があります。

令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告については、国税庁の確定申告特集で申告・納税期限などが案内されています。

一般的に、所得税の確定申告は翌年2月16日から3月15日ごろまでが申告期間です。

ただし、曜日の関係で期限が変わる年があります。

また、還付申告は原則として対象年の翌年1月1日から5年間提出できます。

一方で、青色申告特別控除など、期限内申告が条件となる制度もあります。

「還付だから後でいい」と考える前に、自分が使いたい制度の期限要件を確認しておきましょう。


62. 確定申告書等作成コーナー

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に沿って金額を入力することで、所得税、消費税、贈与税の申告書や青色申告決算書、収支内訳書などを作成できます。

e-Taxによる送信も可能です。

医療費控除、ふるさと納税、株式の譲渡損失、住宅ローン控除なども、該当項目を入力していくことで申告書を作成できます。


63. e-Tax

e-Taxは、国税電子申告・納税システムです。

所得税の確定申告、申請、届出、納税などをオンラインで行うための仕組みです。

マイナンバーカードやスマートフォンを使えば、自宅から申告できるケースも増えています。

税務署に行く時間がない人、書類作成をできるだけ簡単にしたい人は、e-Taxやスマホ申告を検討するとよいでしょう。


64. マイナポータル連携

マイナポータル連携を利用すると、給与所得の源泉徴収票、控除証明書、医療費通知情報などを自動入力できる場合があります。

すべてが自動で完了するわけではありませんが、入力ミスや控除漏れを減らせる可能性があります。

特に、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除などを申告する人にとっては便利です。


第9章 見落としやすい人別チェックリスト

会社員が確認すべき制度

状況確認すべき制度
医療費が多い医療費控除
市販薬を多く買ったセルフメディケーション税制
ふるさと納税をした寄附金控除、ふるさと納税
住宅ローンで家を買った住宅ローン控除
年末調整で保険料控除を忘れた生命保険料控除、地震保険料控除
iDeCoの証明書を出し忘れた小規模企業共済等掛金控除
年の途中で退職した還付申告
副業をしている副業所得の申告要否、住民税申告
株で損をした上場株式等の譲渡損失の損益通算・繰越控除
米国株配当がある外国税額控除
家族を扶養している扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除
災害・盗難にあった雑損控除、災害減免法

年金受給者が確認すべき制度

状況確認すべき制度
医療費が多い医療費控除
介護保険料や国民健康保険料を払っている社会保険料控除
生命保険料・地震保険料を払っている生命保険料控除、地震保険料控除
ふるさと納税をした寄附金控除、ふるさと納税
年金以外の所得がある確定申告不要制度の確認
株式配当や譲渡損失がある配当所得の申告方式、譲渡損失の繰越控除

投資家が確認すべき制度

状況確認すべき制度
株式売却損がある上場株式等の譲渡損失の損益通算
株式損失を翌年に繰り越したい上場株式等の譲渡損失の繰越控除
配当金が多い配当所得の申告方式選択
日本株配当を総合課税で申告したい配当控除
米国株・海外ETFの配当がある外国税額控除
FX・先物で損失が出た先物取引の損失繰越控除
暗号資産で利益が出た雑所得としての申告確認
NISAで損が出た原則、損益通算・繰越控除不可

住宅を買った・改修した人が確認すべき制度

状況確認すべき制度
住宅ローンで家を買った住宅ローン控除
認定長期優良住宅などを買った認定住宅等新築等特別税額控除
耐震改修をした住宅耐震改修特別控除
省エネ改修をした省エネ改修の住宅特定改修特別税額控除
バリアフリー改修をしたバリアフリー改修の住宅特定改修特別税額控除
多世帯同居のため改修した多世帯同居改修の住宅特定改修特別税額控除
子育て対応改修をした子育て対応改修特別税額控除

個人事業主・副業をしている人が確認すべき制度

状況確認すべき制度
事業所得がある青色申告制度
複式簿記で記帳している青色申告特別控除
e-Taxで申告する65万円の青色申告特別控除
家族に事業を手伝ってもらっている青色事業専従者給与、事業専従者控除
事業が赤字損益通算、純損失の繰越控除
前年黒字、今年赤字純損失の繰戻し還付
自宅兼事務所必要経費、家事按分
不動産所得が赤字不動産所得の損益通算の可否確認
予定納税の通知が来た予定納税、減額申請

まとめ:確定申告は「税金を払うだけ」ではなく、取り戻すための手続きでもある

確定申告で使える減税・還付制度は非常に多くあります。

一般の会社員でも、医療費控除、ふるさと納税、住宅ローン控除、iDeCo、保険料控除漏れ、株式損失、外国税額控除、年途中退職の還付申告など、使える可能性のある制度は少なくありません。

特に見落としやすいのは、次の制度です。

  • 医療費控除
  • セルフメディケーション税制
  • ふるさと納税の確定申告漏れ
  • iDeCoの小規模企業共済等掛金控除
  • 年末調整で出し忘れた生命保険料控除・地震保険料控除
  • 住宅ローン控除の初年度申告
  • 株式損失の繰越控除
  • 外国税額控除
  • 年途中退職者の還付申告
  • 年金受給者の還付申告
  • 副業所得と住民税申告
  • 災害・盗難時の雑損控除
  • 扶養控除・配偶者控除の見直し

確定申告は「税金を払うためだけの手続き」ではありません。

条件に当てはまれば、払いすぎた税金を取り戻したり、翌年以降の税負担を軽くしたりできる重要な手続きです。

まずは、国税庁の確定申告書等作成コーナーで自分の状況を入力し、該当する控除や還付がないか確認してみるとよいでしょう。

税金の制度は複雑ですが、最初からすべてを理解する必要はありません。

自分に関係ありそうな項目だけでも確認しておくことで、思わぬ還付や節税につながる可能性があります。


参考にした主な公式情報

  • 国税庁:所得税の確定申告
  • 国税庁:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
  • 国税庁:公的年金等を受給されている方へ
  • 国税庁:暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書
  • 国税庁:確定申告書等作成コーナー
  • e-Tax:国税電子申告・納税システム

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を行うものではありません。実際の申告にあたっては、国税庁の最新情報、税務署、税理士などに確認してください。

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