東京都にありながら、自然の濃さはまるで郊外の山地──そんなギャップで多くの登山者を魅了している山が 小仏城山(こぼとけしろやま) です。
高尾山から縦走できる山として知られ、都内でも屈指の人気ルートのひとつ。高尾山ほど人が多すぎず、かといって寂しすぎない、絶妙なトレッキングバランスが魅力です。
今回は、私が実際に小仏城山を歩いて感じた魅力を、自然・城跡・展望という3つの軸でまとめてみました。
険しい山ではありませんが、歩いてみると意外な“味わい深さ”がある山。その魅力をたっぷり紹介します。
■ 小仏城山はどんな山?歴史と自然が混じり合う独特の魅力
小仏城山は標高670m。東京都八王子市と神奈川県相模原市の境に位置し、城山の名の通り、かつては砦があったとされる場所でもあります。
山頂は広く、ベンチやテーブルが整備され、ファミリーや初心者の休憩ポイントとしても大変人気。また、茶屋があることで知られ、コーラやなめこ汁を楽しみにして登る人も少なくありません。
朝早く登れば、雲海がふわっと広がる日も。
都心から1時間台でアクセスできる山でこんな景色が見られるのは、まさに高尾エリアならではといえるでしょう。
■ 高尾山から縦走開始。序盤は整った登山道で歩きやすい
私が歩いたのは「高尾山 → 城山」ルート。
高尾山口駅からスタートし、稲荷山コースで高尾山を経由して城山へ向かいました。
序盤の稲荷山コースはやや急な階段が続くものの、木々の間を抜ける風が心地よく、標高が上がるにつれて景色が開けていく変化が楽しいルートです。
高尾山山頂まで登り切ると人の多さに驚かされますが、そこから城山方面へ入ると一気に歩きやすい静かな道に。
木漏れ日が差し込む尾根道を歩きながら、ほどよいアップダウンに身を任せる……そんな時間がとても気持ちいいのが、この縦走の醍醐味です。
■ 小仏城山の象徴、ひらけた山頂と茶屋の賑わい
高尾山から歩くこと約1時間、視界が急に開けたらそこが小仏城山の山頂です。
広々とした山頂には大きなベンチが並び、天気の良い週末はハイカーでとても賑やか。
茶屋では名物の なめこ汁 が人気で、疲れた身体に染み渡るおいしさ。夏場ならキンキンのコーラが最高のご褒美になります。
市街地を見下ろす眺望はもちろん、天気が良い日は相模湖まで見渡せる大パノラマ。
高尾より少し先に足を伸ばすだけで、ここまで静かで開放感のある山頂が楽しめることに、改めて城山の魅力を感じます。
■ 城跡の名残を感じる静かな雰囲気
小仏城山は「城山」という名の通り、山頂付近には城郭の名残を感じる地形が多く残っています。
広い平坦地はかつての曲輪(くるわ)とされ、急斜面には防御を意識した造りが見られるなど、歴史好きにとっても歩きごたえのある山です。
誰もいない早朝に歩くと、ただのハイキングコースとは違う、不思議な静けさを感じるのもこの山の魅力。
“高尾の奥にひっそり残る城跡”というロマンを想像しながら歩くと、普段とは違った楽しみ方ができます。
■ 小仏峠〜景信山へ続く縦走路もおすすめ
城山は単独で登るより、縦走の途中に組み込むことで真価を発揮する山です。
高尾山 → 城山 → 景信山 と歩く縦走コースは都内屈指の人気ルートで、尾根歩きの爽快感と複数の山頂を楽しめる贅沢な行程。
時間に余裕があればぜひ景信山まで足を伸ばしてみてください。城山とはまた違う静けさと展望が味わえます。
また、下山は「小仏峠バス停」へ下りれば、JR・京王線にアクセスしやすく、無理なく日帰りで楽しめます。
■ 都市と自然の境界で感じた“不思議な落ち着き”
小仏城山を歩いて感じたのは「東京都とは思えないほど自然が濃い」ということ。
鳥の声、高原のような涼しい風、森の香り、そして広がる展望。
高尾山のように観光で賑わいすぎず、かといって人が少なすぎて不安になることもない。
そのちょうど中間に位置する、絶妙なバランスの山──それが小仏城山でした。
自然の中で過ごす時間が好きな人なら、間違いなく“ちょうどいい充実感”を得られるはずです。
歴史好き、縦走好き、茶屋グルメ好き……さまざまなタイプの登山者を受け止めてくれる懐の深さも魅力でしょう。
■ まとめ:気軽に行けてしっかり楽しめる、東京の名ハイキングスポット
小仏城山は華やかさはないものの、一度歩くと不思議と「また来たい」と思わせてくれる山。
高尾エリアの自然と歴史を堪能したい人にとって、最適な山のひとつだと感じました。
・高尾山だけでは物足りない人
・静かな山頂を楽しみたい人
・歴史の香る山が好きな人
・縦走のスタートとして歩きたい人
どんな目的の人でも受け入れてくれる、そんな懐の深い山です。
次は季節を変えて、紅葉や新緑の時期に訪れてみたくなる、魅力的な1座でした。













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