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「これ、お願いしてもいい?」
そう言われると、自分の予定を確認するより先に「大丈夫です」と答えてしまう。
本当は、今日もやることがたまっている。週末くらいは休みたい。これ以上引き受けたら、つらくなることも分かっている。
それでも、その場では断れない。
そして帰宅してから、
「どうしてまた引き受けてしまったんだろう」
と、一人で後悔する。
そんなことはありませんか。
頼まれ事が増えると、作業する時間だけでなく、休む時間や自分のために使う時間まで削られていきます。
この記事では、返事をする前に余力を確かめ、引き受けられる範囲を伝える方法を紹介します。仕事、友人付き合い、家族とのやり取りで使える例文もまとめました。
断れないときは、気持ちと環境の両方を見てみる
断りたいのに言えない背景には、いろいろな事情があります。
- 相手をがっかりさせたくない
- 関係が悪くなるのが心配
- 以前助けてもらったので、断りにくい
- 自分なら少し頑張ればできると思ってしまう
- 上司や先輩からの依頼で、返事を選びにくい
- 人手が足りず、いつも同じ人に仕事が集まる
自分の気持ちを整理することも必要ですが、担当の偏りや上下関係にも目を向けてみましょう。
同じ人だけが毎回残業している。家族の用事を一人で引き受けている。断ると責められる。
そうした状況では、本人の伝え方に加えて、分担や相談先も考える必要があります。
頼まれ事を抱え込まないための5つの方法
1.その場で返事をせず、確認する時間を取る
最初に試したいのは、引き受けるかどうかを決める前に、一度確認を挟むことです。
たとえば、次のように返します。
「予定を確認して、今日の夕方までに返事します」
「今の作業状況を確認させてください」
「少し考えてから返事してもいいですか?」
保留にするときは、可能であれば返答の目安も添えましょう。相手も、いつまで待てばよいか分かります。
急ぎの依頼なら、
「何時までに返事が必要ですか?」
と確認する方法もあります。
すぐに答えたくなる場面ほど、手帳や予定表を開くことを習慣にしてみてください。
2.「空いているか」だけでなく、必要な時間を確かめる
予定表に空白があっても、その時間を全部使えるとは限りません。
移動、家事、翌日の準備、休息。予定表に書いていないことにも時間は必要です。
引き受ける前に、次の3つを確認してみましょう。
| 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 何を、どこまで頼まれているか | 「完成までの対応ですか? 確認だけですか?」 |
| いつまでに必要か | 「締め切りはいつでしょうか?」 |
| どれくらい時間がかかりそうか | 「準備も含めて、何時間くらいを想定していますか?」 |
「少しだけお願い」と言われても、実際の負担が小さいかどうかは、内容を聞くまで分かりません。
依頼の大きさを確かめてから、自分の予定と照らし合わせる。
この順番で考えてみます。
3.断るときは、自分の状況と結論を短く伝える
断る理由を探して、説明が長くなってしまうことがあります。
でも、伝えたいことが途中で曖昧になると、相手は「調整すれば引き受けてもらえるのかな」と受け取るかもしれません。
まずは、今の状況と返事を短く伝えてみましょう。
「今週は予定が埋まっているので、今回は引き受けられません」
「今日は休む時間を取りたいので、参加は見送ります」
「その日程では対応が難しいです」
厚生労働省「こころの耳」では、相手への配慮と、自分の考えを伝えることを両立するコミュニケーション方法として、アサーションを紹介しています。
相手の事情を聞いたうえで、自分の事情も伝えてよいのです。
なお、私生活の細かな事情まで説明したくないときは、「都合がつかないため、今回は見送ります」という伝え方もできます。
4.手伝いたい場合は、範囲や期限を決めて伝える
全部は難しくても、一部分なら協力したい。
そんなときは、何を、どこまで、いつまでならできるかを具体的にします。
「資料全体の作成は難しいですが、誤字の確認ならできます」
「当日の受付だけなら手伝えます。事前準備は参加できません」
「今日は難しいですが、金曜日までなら対応できます」
「少しなら大丈夫です」だけでは、お互いが想像している作業量に差が出ることがあります。
範囲を決めておくと、追加の依頼が来たときにも、
「今回は確認までの予定だったので、修正作業は別途相談させてください」
と伝えやすくなります。
ただし、部分的に引き受ける余力もないときは、代案を用意する必要はありません。自分が無理なくできる場合に使う方法です。
5.引き受けた後でも、難しくなったら早めに相談する
一度「できます」と言った後に、想定より作業が多いと分かることもあります。
そのときは、期限直前まで一人で抱えるより、分かった時点で相談しましょう。
「引き受けたときの見積もりより作業量が多く、金曜日までに全部を終えるのが難しい状況です。範囲か期限を相談させてください」
「参加すると伝えましたが、体調を優先して今回は欠席します。予定を変えることになり、すみません」
変更によって相手にも調整が必要になる場合があります。分かっている範囲で、現在の状況と難しい部分を伝えます。
一度返事をした後も、状況を共有し、調整を相談することはできます。
仕事の依頼は、優先順位と担当を確認する
仕事では、自分だけで引き受ける・断るを決められない場面もあります。
すでに複数の仕事を担当しているなら、今の業務と追加依頼を並べて、上司などに優先順位を確認しましょう。
「現在、Aの資料を本日中、Bの集計を明日の午前中に提出する予定です。Cも本日中に必要であれば、どちらを優先するか相談したいです」
このように伝えると、何が重なっているのかが具体的になります。
また、毎回同じ人に依頼が集中するなら、
「今月、この作業を3回担当しています。次回以降の担当を分けられないでしょうか」
と、継続的な分担について相談する方法もあります。
日付、依頼内容、所要時間を簡単に残しておくと、状況を説明する材料になります。
場面別|そのまま使える断り方の例文
以下は、この記事で作成した例文です。相手との関係や普段の話し方に合わせて調整してください。
| 場面 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 友人からの誘いを断りたい | 「誘ってくれてありがとう。今週末はゆっくり休みたいので、今回は見送るね」 |
| 頼まれ事を引き受けられない | 「今は自分の予定で手いっぱいなので、今回は手伝えません」 |
| 家族の用事を毎回任される | 「今週は私だけでは対応できないので、担当を分けたいです」 |
| 職場で急な作業を頼まれた | 「今の作業と締め切りが重なるので、優先順位を確認させてください」 |
| 一部だけなら協力できる | 「30分の確認ならできます。作り直す作業までは難しいです」 |
| 繰り返し頼まれる | 「事情は分かりました。ただ、今回は引き受けられません」 |
繰り返し頼まれるたびに、新しい理由を考えなくても構いません。
すでに返事を伝えているなら、同じ結論を落ち着いて繰り返す方法があります。
手帳やノートは「余力を確認する道具」として使う
頼まれ事を整理するために、特別な道具をそろえる必要はありません。
今ある手帳、スマホの予定表、メモなど、普段見返しやすいものを使ってみましょう。
書く項目は、まず次の4つで十分です。
- 頼まれていること
- 締め切り
- かかりそうな時間
- まだ返事をしていないこと
特に「まだ返事をしていない依頼」を分けておくと、考えている途中のものと、すでに引き受けたものを区別できます。
休む予定も、あらかじめ入れておきましょう。
アサーションを学びたい人へ|関連書籍を1冊紹介
アサーションの入門書を探すなら、仕事や家族など自分に近い場面の例文があるか、相手との立場の違いにも触れているかを確認すると、読む目的に合う本を選びやすくなります。
『マンガでやさしくわかるアサーション』
平木典子 著、星井博文 シナリオ制作、サノマリナ 作画。日本能率協会マネジメントセンター刊。ISBN:9784820719281。
出版社は、マンガと解説を組み合わせて、自分と相手の両方を尊重する伝え方を学ぶ入門書として紹介しています。文章だけの解説より、物語を通して考えたい方の候補になります。
読めば必ず断れるようになるといった効果を保証するものではありません。まずは図書館や試し読みで内容を確かめる方法もあります。
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購入を検討する場合は、紙の本・電子版の違い、価格、在庫、送料、販売元などをリンク先でご確認ください。
断ると怒鳴られる・不利益が怖い場合は、相談先を確保する
断ると人格を否定される。威圧される。嫌がらせを受けるのが怖い。
そうした場合は、言い方を工夫することに加えて、周囲の支援を考えてください。
職場であれば、相談できる上司、人事、社内相談窓口などが候補になります。依頼した本人が相談しづらい相手なら、別の窓口を選びましょう。
厚生労働省「あかるい職場応援団」では、ハラスメントが疑われる場合に、出来事の記録を残すことや、社内・社外の窓口へ相談することを案内しています。
記録できる場合は、日時、相手の言葉、依頼内容、その後に起きたことなどを残します。
一人で直接伝えることに危険や強い不安があるときは、相談先と対応を考えることを優先してください。
まとめ|次の返事の前に、自分の予定を確認する
頼まれ事を抱え込みやすいときは、次の5つから試してみましょう。
- その場で即答せず、確認する時間を取る
- 内容・期限・必要な時間を確かめる
- 自分の状況と結論を短く伝える
- 協力する場合は、範囲や期限を決める
- 難しくなったら、早めに調整を相談する
全部を一度に変える必要はありません。
次に何かを頼まれたとき、まずは一言。
「予定を確認してから返事します」
その時間を使って、相手の依頼と同じように、自分の予定や休息も確かめてみてください。
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